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Vol.19 太陽熱とガスエネルギーとの融和  集合住宅用太陽熱利用ガス温水システム   商品開発部 温水技術グループ 伊藤 秀二さん
オイルショックをきっかけに、爆発的に普及し、最盛期の1980年には全国で約80万台設置されていた太陽熱温水器。その後、消費の減速や原油価格の低下により、現在は約5万台にまで激減した。その太陽熱温水器を「ガス給湯器と融和させたい」という思いから、特に商品化が難しいとされてきた集合住宅向けの太陽熱利用ガス温水システムの開発を手がけているのが、商品開発部 温水技術グループの伊東秀二さんだ。

一度はブームが去った「太陽熱」だが、昨今の地球温暖化問題への対策から、再生可能エネルギーとして再び脚光を浴びている。海外では、中国が太陽熱温水器の生産量とエネルギー使用量ともに世界1位に急成長し、ドイツをはじめとした欧州でも急速に普及が拡大している。

東京ガスも、東京都からの強い要望や、国のプロジェクトの後押しもあり、独立行政法人建築研究所との共同研究開発事業として、2007年から機器開発をスタート。今年度は、商品化に向けて、集熱パネルを矢崎総業(株)様、手すりを三協立山アルミ(株)様、貯湯ユニットは(株)ガスター、リモコンはリンナイ(株)様が担い、東京ガスを含めた5社共同による開発を進めてきた。

今回開発した集合住宅用太陽熱利用ガス温水システムは、集合住宅のバルコニーの手すりに設置した集熱パネルで太陽熱エネルギーを集め、その熱で貯湯タンク内の水を温めて給湯やお風呂のお湯張りに利用するもので、集熱量が足りないときには、併設した「エコジョーズ」で加熱する。

個々の住宅で設置や修理を可能にした手すり一体型

「集合住宅の美観を損なわないデザインと柔軟な設置性を重視しました」と伊東さん。過去にも、他社において集合住宅のバルコニーに設置する太陽熱システムが開発されていたが、設置や修理を各戸で行うことが難しい構造だった上、集熱パネルが斜めにせり出した見た目もよくないものだった。

そこで、集熱パネルはバルコニーの手すり部分に垂直に設置(写真参照)。集めた熱を循環させるポンプを駆動するための太陽電池も目立たないよう、両脇二ヵ所に配置した。手すりと集熱パネルは一体型で、取り付けや取り外しも容易となり、各家庭単位でのメンテナンスができるようになった。

「集合住宅全体で設置や修理をする場合が多かった従来型から、集熱パネルと給湯器の設置や修理をそれぞれ個別に行える住戸完結型としました」。

開発にあたり、「デザインについては、営業の方々を通じてサブユーザー様からご意見を頂いたり、施工・メンテナンスについては各関係者にご協力を頂き、課題を解決することができました」という伊東さん。これまで製作した試作機は7台。千住での性能試験では、曜日や在宅状況などによる異なる生活パターンを設定し、想定した使用時間に自動的にお湯を流して、生活パターン別の太陽熱と「エコジョーズ」の利用割合を割り出し、集熱効率を分析した。短期間での検証やデータ分析には、大学教授や日本環境技研(株)様にご協力頂き、それに伴う改良は、メーカー様に開発人員を増強して頂き対応した。

性能試験を重ねて少人数世帯に照準

幾度にもわたるデータ検証の結果、単身世帯や2〜3人の少人数世帯で省エネメリットを実感できることがわかった。南向きの場合、冬場の快晴日には、55度前後のお湯が約100ℓできるため、単身世帯なら晴れた日は太陽熱で給湯需要を十分まかなえる計算だ。

10数年前、ドイツでピラミッド型の斬新なデザインの太陽光パネルを見て、デザインから太陽光パネルを考えるという視点に関心を持ったという伊東さん。

「太陽光や太陽熱システムのデザインは限りがあって難しい。だからこそ、“限りがあるなりの工夫”を考えることが面白く、開発してみたいと思いました」。

昔からあるシステム。されど、見た目も構造も全く新しいこの太陽熱利用ガス温水システムの発売まであとわずか。「地球上の生物は全て、太陽エネルギーを得て生きています。バルコニーの集熱パネルで、太陽エネルギーをより身近に感じて頂き、省エネ生活を楽しんで頂ければと思っています」。

  商品開発部 温水技術グループ 伊藤 秀二さん
集合住宅用太陽熱利用ガス温水システム
太陽エネルギーを集熱パネルで吸収し、その熱を集熱循環ポンプで循環させて貯湯タンク内の水を温める。溜まったお湯の量は室内のリモコンで確認できる。4人家族の場合には、従来型の給湯器に対して、年間のCO2削減量を約25%と試算。

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